ぴ~まん’s ワールド

仕事も遊びも楽しくやろう 楽しくなければ人生じゃない

江戸しぐさ 「用心しぐさ」

いつの世にも悪党はいる。

スリ、かっぱらい、押し込み(強盗)など、現代でも当たり前に起きている犯罪は、

当然、江戸時代にもあった。

とくに江戸の町人文化が華やかになると、

江戸の各所にあった広小路という大きな通りには、屋台や店が多く出て、

人々が集まり、繁華街を構成するようになった。

こうなるとスリやかっぱらいなど犯罪も多発した。

そのために繁華街を歩くときは、常に周囲に気を配った。

これを 「用心しぐさ」 といった。


用心しぐさの要諦は、まず、目的もなく繁華街を歩かないこと。

キョロキョロしていれば、スリの格好の餌食となる。

そして、そのような場所に出かける場合は、身なりをきちんとした。

派手すぎず、地味すぎず、あまり目立つようなおかしな格好はしない。

こうした往来での用心しぐさが出来ないと、ポッと出と見られて狙われたという。


繁華街を歩くときは、常に周囲に気を配る。

これが犯罪に遭わない心得だ。

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大勢の人が集まる都市には、犯罪は付き物だ。

江戸は世界一と言える大都市で、

その上、それ祭りだ、縁日だと大勢の人が集まって人込みが出来るので

スリなどは仕事がしやすかった。

また、たびたび起きる火事の混乱に乗じて盗みを働く者もいた。

それに対して幕府の治安維持は、北と南の町奉行所が抱える与力、同心は150人弱。

しかも北町と南町はひと月交代で仕事が休みになったので、

実際には100人程度で治安維持にあたっていたのである。

この他に目明し(岡っ引き)と呼ばれる同心の部下のような存在の民間人がいた。

親分格の目明しが400人ほど、さらに子分の下っ引きがいたのだが、

幕府は公式にはこの存在を禁止していた。


町人の人口は50万人。

とうていこれですべての町の治安が守られたわけではない。

町人たちは自治組織を作り、犯罪の予防などに努めていた。

一番身近な存在として、長屋の大家が五人組を作って、暮らしに関する雑用を引き受けつつ、

その町に暮らす人の顔を覚えていた。

大家の上には町名主がいて、数町から十数町を担当していた。

その上が自治組織のトップである町年寄で、幕府や奉行所からの通達を町人に伝え、

人別を管理し、税金の徴収などを行うほかに、もめごとの調停などもしていた。



いつの時代にも犯罪に手を染める悪党がいて、あとを絶たない。

そして犯罪の手口は時代の変化とともに進化していく。

近年問題になっている 「オレオレ詐欺」 「振り込め詐欺」 などは、その典型例だろう。

犯罪に遭わないためには、警察任せにするのではなく、

地域住民の協力、そしてなにより一人一人の用心と心構えが重要。

人を見たら泥棒と思え!

ということわざが当てはまる世の中だという認識も必要だ。

悲しいかな、身の回りには善い人ばかりがいるわけではないのである。

常に、犯罪に巻き込まれる可能性があると考えておかなければならない。