江戸では、幕府の犯罪防止から
「五人組」というグループ単位で相互監視、相互扶助の仕組みが作られていた。
だから、名主、家主を中心とした共同社会が成立していた。
そんな社会だから、自己中心的に振る舞うことは嫌われた。
もちろん身勝手に振る舞う者もいたが、それは
「ふとどきしぐさ」「わがまましぐさ」と呼ばれ、
してはいけないしぐさとされたのである。
江戸の長屋に住む住人たちは、現代のように
隣家が何をしている人なのかまったく知らないということはあり得なかった。
困ったことが起きたら、互いに助け合うのは当たり前のことで、
何か事件が起これば、大勢で解決に当たった。
そういう社会だけに、互助の精神が江戸人の基本であり、
身勝手、自己中心はタブーとされ、最も嫌われる態度だった。
江戸の人たちは、決してひとりだけで生きていると考えず、
互いに助け合ってこそ、生活できると考えていたのだ。
相互扶助の不可欠な社会では、「ふとどきしぐさ」や「わがまましぐさ」は、
あってはならないことだった。
昔も今も身勝手、自己中心的な振る舞いは嫌われていたのですね。
現代の身勝手で自己中心的な態度、行動のほうが、えげつないもののように思います。
相互扶助ではなくても構わないけど、最低限のマナーとして
人を騙したり、迷惑を掛けることはしないでもらいたいものです。
本根は一人で生きているのではない、一人では生きていけないことを理解して、
互助の精神を身に付けてもらいたいのですが。