ぴ~まん’s ワールド

仕事も遊びも楽しくやろう 楽しくなければ人生じゃない

放射線治療について

前立腺癌の放射線治療のメリット

放射線治療の利点としては、手術に比べて侵襲も少なく、
治療後のQOL(生活の質)が高いことです。
前立腺癌の場合、手術では高率で性機能が障害され、
性的活動期にある男性には大きな問題となります。
また、手術後に尿失禁が認められることもまれではありません。
一方、放射線治療の主な副作用は直腸障害ですが、
放射線治療のほうがQOLを高く保つことができるとされています。
その一方で、放射線治療は1ヶ月以上毎日通院する必要があり、
そこに負担を感じる場合もあります。
放射線治療期間中は入院の必要がなく、外来で治療ができますので、
日常生活を続けながらの治療が可能です。
有害事象(副作用)としては、頻尿・排尿痛・肛門痛・頻便・下痢などであり、
やや重篤なものとしては直腸出血などがあります。

I期・II期の前立腺癌に対する成績は、
72グレイ以上(グレイ:放射線の量を表す単位)の線量が投与されれば、
手術と同等かそれ以上の治療成績が得られたとする報告もあります。
また、手術療法の適応外とされるⅢ期における前立腺癌も
放射線外照射は選択可能であり、良好な成績が得られています。



外照射 cRTとIMRT

外照射(体の外から放射線前立腺にあてる治療法)と一口で言っても、
様々な方法があり、用途に合わせた適切な使い方が必要になります。
外照射の方法は大きく分けて、
均質な放射線をまんべん無く均一に照射する通常照射(cRT)と、
放射線の強さにメリハリをつけ、癌には大量に放射線を照射し、
癌ではない正常組織には極力放射線を当てないようにする強度変調放射線治療(IMRT)
に分けられます。
長い間、外照射の主役はcRTでしたが、
昨今の科学技術の目覚しい進歩によりIMRTが注目されるようになり、
これまで標準的治療として考えられてきた外照射の方法は、
cRTからIMRTに変わってきています。

cRTは、リニアックというX線発生装置を用い、
前後左右等2~6方向から前立腺をめがけて照射します。
多方向から放射線を照射することにより、
たくさん放射線があたる正常組織の範囲を狭めることができます。
しかし、前立腺癌のように標的となる部分に、
直腸などの正常組織が入り組んで存在している場合、
それを避けて照射することができません。
一般的に、前立腺癌を制御するためには
72グレイ以上の線量が必要と言われていますが、
cRTの場合、凹んだ部位への照射が不可能であるため、
直腸に重篤な副作用をきたす一歩手前で照射を終了せざるを得ない場合があり、
癌を駆逐するのに必要な線量を投与できないこともあります。
この問題を克服するために考え出されたのが、強度変調放射線治療(IMRT)です。

強度変調放射線治療(IMRT)とは、腫瘍部分のみに放射線を集中させ、
正常組織への照射を極限まで低減する新技術の一つです。
強度変調放射線治療では、何万通りの照射方法の中から最適なものを算出し、
複雑な照射をコンピューター管理で超高精度に制御された治療装置により実行します。
強度変調放射線治療の中でも、最も実用化が進んでいるのが前立腺癌です。
前立腺癌では直腸を囲むように腫瘍が存在するため、
従来の照射法で高線量を投与した場合に直腸からの大量出血など、
副作用をきたす頻度が高くなります。
一方、強度変調放射線治療では、凹型の高線領域を作ることが可能であり、
直腸を避けながら腫瘍へ高線量を投与することが可能です。
これにより、従来の照射方法と比較し副作用の軽減が期待されます。
前立腺癌に81グレイを照射した場合の直腸出血の発生率は、
通常照射法では10%であるのに対し、
強度変調放射線治療では2%以下と大幅に減少するという報告があります。



トモセラピー

トモセラピーとは、アメリカで開発された強度変調放射線治療を行う専用機です。
位置照合用のCTとヘリカルCTのメカニズムを応用した回転式の放射線治療装置を
一体化させた強度変調放射線治療器(IMRT)です。
トモセラピーには位置を正確に合わせるためのCTとしての機能も組み込まれており、
毎回の照射のたびにCTを撮像し、前立腺やその他の臓器の位置を正確に把握します。

他の装置のIMRTの射出ポイントが7~9方向であるのに対し、
トモセラピーは1回転360度中、51方向もビーム射出ポイントがあり、
細い放射線ビームを病巣めがけて狙い打つため、
標的(前立腺)に多くの放射線をピンポイントで当てることができます。
また、多方向から照射するため、他の装置より腫瘍への集中性が高まります。
さらに正常組織(直腸など)に対して放射線被曝を抑制することができるので、
副作用が少なく、患者への負担も軽い画期的な装置です。


~江戸川病院HP参照~




トモセラピーは、前立腺癌以外にも脳腫瘍、骨腫瘍、乳癌、肺癌、肝臓癌等、

全身の悪性腫瘍に対して有効性が確認され、2009年4月からは、

全身の悪性腫瘍に対する保険適応も認められるようになりました。


癌細胞を破壊、消滅させるために放射線を照射しますが、

正常な組織に放射線が当たれば、その組織の細胞も破壊されます。

正常な細胞が破壊されれば、

その臓器、器官は機能を満足に果たせなくなり、

副作用として不快な症状が現れます。

トモセラピーは、標的に的確にピンポイント照射でき、

正常な細胞への照射を抑制できる副作用の少ない放射線治療器です。


トモセラピーを設置している病院は全国でもまだ少なく、

東京でも2つの病院にしかありません。

トモセラピーによる放射線治療を受けたくても

設備のある病院が近くにないかもしれません。

しかし受けられるのなら、トモセラピーで受けることをお薦めします。

とくに前立腺癌のように標的となる部分に、

直腸などの正常組織が入り組んで存在している部位の治療には、

現時点で最適な治療法だと思います。


私の治療中に、トモセラピーによる治療を受けるために山形から来た人がいました。

ウィークリーマンションを借りて通院しているそうです。



病院によって若干の違いはあるかもしれませんが、

トモセラピーによる放射線治療の医療費は、

通常のIMRTよりも2000円程度高いみたいです。(未確認)

私の場合、一回当たり約10000円でした。


治癒率が高いという条件付きですが、

手術しない方法で治療できるのなら、手術しないほうが体にはやさしいです。

さらに副作用の少ない治療法のほうが体も心も楽です。