2004年、クリスマスの翌日に起きたスマトラ島沖地震。
一家は、トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったが、
突如襲った大津波により一時は離散してしまう。
そこから諦めることなく生き抜いた家族の絆を描き出している。
2度の大津波に呑み込まれながらも、
からくも生き延びた母親(ナオミ・ワッツ)とその長男は、
辺り一面沼地と化した荒野をさまよう。
再び津波に襲われるかもしれないという恐怖の中、
怪我をして悲鳴を上げる母親を励まし、
離ればなれになった父親と二人の弟を捜す長男。
一方、父親はまだ幼い二人の息子を見つけ、さらに妻と長男を捜し歩く。
大津波に呑み込まれるとこういうことになるのだと改めて思い知らされた。
見知らぬ被災者同士がお互いを労わり、助け合うエピソードは、
東日本大震災でも見られたであろう。
東日本大震災の被災者は、見るに耐えないと思うが、
この映画はフィクションではなく、
事実に基づいて制作されたものだけに非被災者として東日本大震災の不幸と、
今も尚、復興に立ち向かっている人達の事を改めて考える気持ちになる。
そしてこの災難を経験した、モデルとなっている一家が
事の全容を話すに至る心の葛藤は、想像するだけで胸を熱くさせる。
家族愛、そして絶望の中でも諦めないことの素晴らしさをしっかりと伝えている。
同時に、並べられた多くの遺体、トラックで運ばれていく孤児たち、
家族を失って一人で手術を受ける人、
主人公に力を貸したにも関わらず、自らは失意のまま家族を探し続け、
次の病院へと向かう人など悲痛な場面もしっかり映し出している。
配給会社もこの映画を日本で公開すべきかどうか悩んだことと思う。
娯楽映画とは違うが、日本の非被災者は見ておくべき映画かもしれないという意味で
☆5つです!
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