ぴ~まん’s ワールド

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介護の環境改善は緊急課題

川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で

入所者の男女3人が転落死した事件。

なんとも痛ましい非人道的な事件だ。

介護のいかなる状況にあっても、暴力や虐待は許されることではない。

逮捕された元職員の今井容疑者がやったことは絶対に許されない。


しかしその裏には介護現場での過重労働、精神的苦痛、低賃金などといった

多くの大きな問題が隠れている。


夜勤では一人の介護士が10人近くの入所者を看ている所もある。

一人の入所者の世話をしているときに他の入所者に何かが起きても

すぐに対処できないのは当然であり、

なかには二人がかりで対処しなくてはならないケースも起こる。

認知症患者と一口にいっても症状、状態は人それぞれ。

言ったそばから忘れてしまう人もいれば、

暴言を吐いたり暴力的になってしまう人もいる。

きれいなものと汚い物の区別がつかなくなってくるから

風呂に入りたがらない、同じ服を着続ける、汚物を手で掴むなどという

行動をするようにもなる。

対話が成り立たない場合が多いから説得するのも容易ではない。

そんな環境下でも、いつも笑顔を絶やさずに入所者と接している介護士たちには

頭が下がる。


私の母も施設でお世話になっているし、家には認知症の義母もいる。

一人の認知症患者である義母を家族総出で対応していても大変なのに

複数の認知症患者の面倒を看るのは、大変などという言葉では到底足りない。

家庭内では介護する側の者にも生活があるから、

安心して預けられる介護施設の充実は、

高齢化社会となった今、解決、改善が急がれる課題である。



施設が足りない、人材が足りない、過重労働はよく耳にする。

給料が安いから30歳を前にして離職する人が多いという。

離職者が後を絶たず、その補充もままならないから

残ったヘルパー、介護士たちが過重労働を強いられている。

給料を上げて、離職者を減らすと同時に施設を増やし、

介護職は魅力があると思わせる環境整備をしなくては人も集まらない。

当然やっていかなければならないことだが、

いずれもまったくといって良いほど進んでいないのが現状だ。


更にこれらのことが解決すればすべて解決とならないところが介護問題なのだ。

相手は人間だけに100人いれば100通りの問題が起こる。

認知症患者の心象を深く理解し、

ひとつひとつの小さな問題から大きな問題まで

冷静に手際よく解決しなけれなばならない。

しかし対応する看護士も人間だけにいつもいつも心穏やかに対応することは難しい。

人にやさしくできればオーケーとはいかないのが介護職なのだ。


昨年4月から介護報酬が2.27%引き下げられたが、

これは2006年の2.4%引き下げから2回目のこと。

労働力不足が叫ばれている最中に再び介護報酬を引き下げるとは理解に苦しむ。

処遇改善加算で12000円増えても介護報酬が下がれば

事業所が支払う給与もしくはボーナスが減るのは目に見えている。

「低年金高齢者にバラマキの3万円支給する余裕があるなら介護関係に回すべき」

という声が高まるのは当然のことだ。

このままでは更なる人材不足から起こるサービス低下、

介護士のモチベーション低下は免れず、

第2、第3の入所者殺人や暴力、虐待事件が起きてしまう。



類似のことは育児、保育園問題でも起きている。

少子高齢化』なのだから、どちらにも速やかに対応しなければならない。

税収には限りがあるのだから、

国会で歳出の見直しをして、無駄な支出を少しでも削る努力をしてもらいたい。