エリザベス・ゴールデン・エイジ |
スペインの無敵艦隊を破り、イギリスの黄金時代を築く礎となったエリザベス1世の物語で
エリザベス1世の 「女としての苦悩」と 「女王としての凛とした姿」 を描いた作品。
国を守る為に気丈に戦略のサイを振るう 「強い女性」 「強い女王」 のイメージがあるエリザベス女王だが、
生涯独身を貫き、処女の女王(バージン・クィーン)と呼ばれた女王も
生きていく中では、やはり女性としての苦悩もあった。
女性として女王として、感情の揺れと心の葛藤を上手く描いている。
チヤホヤするばかりの男どもに辟易していた女王の前に、少し影のある野性味豊かな男が現れる。
その男に徐々に惹かれていく女王だが、国のリーダーとしての責務があり、女として流される訳にはいかない。
しかし、心の中では女としての幸福を夢見る。
この一人の女性の心の葛藤をケイト・ブランシェットが強烈にオーラを放った演技で魅せている。
アビー・コーニッシュ演じるベスはかわいくて繊細。
このベスの存在がこの映画の中で重要な役割を果たしている。
彼女は女王にとって分身同然、彼女に投影する自分の姿がとても果かない。
女王が惚れる野性味豊かな男がクライヴ・オーエン演じるウォルター・ローリー卿。
この役柄も濃厚で、女王の心を揺れ動かす。
諸外国との軋轢、別の王位継承者(メアリー)の存在、宗教問題、叶わぬ恋心、
多くの重圧をその華奢な体で支えている女王は優雅で力強いが、
一人になると、恋に嫉妬し、悩み、泣く、ただの女に戻る。
女性としての夢と幸せを振り切り、国と国民を守るために、
攻め込んでくる無敵艦隊のスペインに、先頭に立って立ち向かうシーンは鳥肌が立ったが、
戦いに臨むに当たっての作戦を立てる場面がもう少し欲しかった。
☆4つです!
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