楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は
ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった。
成長していく姿を描いた作品。
当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、
納棺師という仕事に誇りを見い出していく。
一見近寄りがたい職業、良く知らない職業、納棺師 に焦点を当て、
死・故人の尊厳、仕事に対する見方・考え方など
重くなりがちなテーマを軽快なタッチで描いている。
主演の本木が見せる見事な納棺技術は注目に値する。
予告編を観たときの感想は
面白そう!
だけど死をテーマ、題材にしたものは気が重くなりそうで観たくない。
というものだった。
でも、観て良かった。
脚本と演出、ストーリー展開が素晴らしく、
重くなりがちなテーマなのに、決して重くならず、軽快に観ることが出来た。
軽快に見せている中にも、死・故人の尊厳という重厚なものは、しっかりとしている。
血色を失った遺体をきれいに清め、死に装束を纏わせ、死に化粧を施して
まるで生き返ったかのように見えるのは、映像から受けるものだけではなく、
納棺師の故人そして遺族への優しい心遣い、仕事に対する誇りをそれまでに見せてくれているからだ。
厳かに執り行われる儀式の緊張感もヒシヒシと伝わってくる。
「 死ぬということは、生まれ故郷に帰ること 」
「 死は誰もが通る門のようなもの 」
という台詞が印象に残った。
また劇中に流れる音楽も素晴らしくマッチしていて、この映画を際立たせている。
多くの人が敬遠するような仕事に携わっている人達も