ぴ~まん’s ワールド

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江戸しぐさ 「肩引き・蟹歩き」

江戸の町の一般的な形は、広い往来に面して商店が並び、

その裏に町人が住む長屋があった。

そこには路地裏と呼ばれる約2mほどの狭い道が縦横に走り、

町人たちの通行路となっていた。


そんな路地裏を歩くときの人と人がすれ違う際のしぐさがあった。

それが 「肩引き」 である。

一般に江戸は左歩きだったので、狭い道ですれ違う際、互いに右肩を引く。

タイミング良く互いに肩を引き、ぶつからないように通行するのだ。

もちろん腕も後ろに引いて相手に触れないように心掛ける。


もっと狭い路地の場合には、 「蟹歩き」 という歩き方をした。

完全に横を向いて歩くのである。

すれ違う際は互いに胸と胸を合わせる格好で歩く。

このような路地を歩く場合は、韋駄天しぐさは厳禁で、あくまでゆっくりと歩く。




裏長屋は大家に店賃(たなちん)と呼ばれた家賃を払う賃貸物件で、

家を借りてそこに住むには大家の許可が必要だった。

当時は裏長屋の物件を裏店(うらだな)、

表通りの物件を表店(おもてだな)と呼んでいたため

家賃は店賃といっていた。


大家といっても家や土地の持ち主ではなく、実際は管理を任された代理人である。

とはいえ 「大家といえば親同然」 といわれるように

結婚をするのに大家の同意が必要だったり、

旅に出るときには関所手形を書いてもらったりと

実の親にも劣らない存在だった。


裏長屋には住民が使う共同便所とゴミ捨て場、井戸などがあった。

こうした共有スペースは住民たちのコミュニケーションの場であり、

井戸端会議という言葉は、このあたりからきている。


住居の壁が薄く、隣りの物音が筒抜けであり、プライバシーを保つのは難しい。

そのため、この時代には近所付き合いが盛んで、

長屋の住民たちはお互いに助け合って生活していた。

夫婦喧嘩や親子喧嘩の仲裁に大家が骨を折ることもあったという。


こんな近所付き合いが当たり前だった江戸で、

路地裏を歩く気づかいも自然と生まれたのである。




私の店の近くに、ほとんど利用者のいない歩道橋があり、

そこは歩道が狭くなっている。

そこを通るときに反対側から人が来ていると歩道橋の手前で待つことになる。

蟹歩きをすればすれ違うことは出来ないこともないが、

みんなどちらかが待避している。

待避していると、

すれ違いざまに会釈をする人、「ありがとう」 と一声掛けていく人もいれば、

無言で当然といったすまし顔で通り過ぎる人もいる。

はたまた自転車を降りて待ってくれる人がいるかと思えば、

こちらが先に歩道橋の横に入っているのに自転車で突っ込んでくるのもいる。

マナー知らずも甚だしい!

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しかもいい年したおっさんやおばさんがそれをやる。

かえって若い人のほうがきちんとしている人が多いくらいだ。

ああ、情けない!

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