類まれな美しさを女王から嫉妬されて森に追放された白雪姫が、
そこで出会った小人たちなどを仲間にして彼女に立ち向かう。
名女優ジュリア・ロバーツが邪悪な女王に扮し、
キャリア初の悪女を憎々しげに演じ切る。
本作が遺作となった石岡瑛子による豪華な衣装をはじめ、
アクションやユーモアを交えてポップに描かれている。
脚本が上手く、ウィットに富んだセリフがそう感じさせるのかもしれないが、
女王ジュリア・ロバーツが、とにかくチャーミング。
強欲で白雪姫をいびる役なのに、
なんだか憎めない上に、ちょっと可愛いとすら思ってしまう。
魔術で虜にした王子との政略的結婚直前のテンションの上げ方は、
普通の女の子以上にルンルン。
ジュリア・ロバーツならではの女王だ。
美しくありたい、女王の権力を振りかざしたい!
と、自分の欲望に正直な女王だが、
白雪姫を邪魔には思っていても、憎んではいない。
憎悪が前面に出てこないから全体的に爽やかで、演出の上手さが光る。
白雪姫(リリー・コリンズ)は、のんびりとしたお嬢様。
女王に邪険にされても危機に陥っても闘っていても可愛く映し出されている。
イモトアヤコ風の極太眉毛には、初め「ゲェッ!」と思ったが、
見慣れると気にならなくなる。
7人の小人が登場したときには、これが7人の小人とは思いもしなかった。
7人の小人と分かったときは、「ちょっと濃すぎるなあ」という印象が強かったが、
物語が進むに連れ、好感度が増してくる。
お伽話を見事にアレンジして、
子供から大人まで楽しめるファンタジー映画になっています。
アレンジはしていても白雪姫が清楚でキュートなところは外していないし、
「リンゴが出てこないじゃん」と思ったところでちゃんと登場するところなど、
原作のイメージは損ねていない。
ラストは、インド人監督らしくインド映画を彷彿させるミュージカル風。
さらにエンディングにも趣向を凝らし、最後まで楽しませてくれます。
故石岡英子さんのドレスは、どれも美しく、お伽話にピッタリなものばかりで
女性だったら衣装を見ているだけでお伽話の世界に浸れるのではないだろうか。
ジュリア・ロバーツが出ていなかったら、絶対に観に行かなかったと思う映画だが、
予想以上に面白く、愉しめた。
☆5つです!
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