作家の山崎豊子さんが亡くなられた(享年88歳)。
作家としては作品が少ないように思えるが、
書かれた作品の多くが大作、というより巨作の作家だった。
映画やドラマにもなり、大ヒットした。
以降、実際の事件や社会問題を題材にした大作を発表。
政財官界の癒着を描いた「華麗なる一族」、
シベリアから帰還した将校が、商社マンとして国際商戦を戦う「不毛地帯」、
日系アメリカ人の悲劇を浮き彫りにした「二つの祖国」、
中国残留日本人孤児を描いた「大地の子」など、
重厚な構成と人間ドラマは他の作家には無いものだ。
重厚な社会派作家として知られるようになってからの取材や資料調べは有名である。
「白い巨塔」は「100の調査材料のうち90%は捨て、生かすのはせいぜい10%」という
執筆姿勢から生まれた作品であり、
「二つの祖国」では、日本、アメリカ、フィリピンの三百数十人から取材した。
「大地の子」には「作家的な命をかけた」という。
農村でのホームステイなど中国での現地取材は3年間に渡り、
取材、執筆に8年を要した。
綿密な調査に基づく豊かな構成を持つ作風で知られたが、
大胆な脚色を加えることで、物議を醸したり、盗用が指摘され訴訟になったこともあった。
多くの作品がが社会問題に鋭く切り込んだベストセラー小説で、映画化、TVドラマ化もされており、
亡くなられたことでいくつかの作品がまた放送されるだろう。
私は一番印象に残っている「大地の子」をもう一度見たい。
ご冥福をお祈りします