安倍新内閣が発足して一週間が経つが、国民の多くは
『一億総活躍社会』って何?
と思ったことだろう。
私もその一人で、最初に『一億総活躍社会』と聞いて、
何をどうしたいのかまったく想像できなかった。
高齢者の中には、今まで長いこと活躍してきたのに「まだ働けというのか!」とか、
活躍したいけど就労の場が得られなかったり、
保育園に子供を入れられず活躍したくてもできないと言いたい人もいただろう。
「家庭で、職場で、地域で、誰もがもっと活躍できる社会」
を作るために一億総活躍社会の実現に取り組むということらしい。
『一億総活躍社会』というスローガンは、アベノミクスの第二弾で
その全体的な目標として「3つの方針」が設定されている。
①「希望を生み出す強い経済」としてGDP600兆円を達成する
600兆円という数字はどこから出てきたのか?
何をどうやって、いつまでに600兆円を達成するのか?
曖昧な目標だと言われても仕方がなく、景気付けのための掛け声にしか聞こえない。
そういうものも必要かもしれないが。
具体的な数値目標が掲げられているが、限りなく厳しい目標数値だ。
人口減をストップさせるには出生率=2.1が必要とされるが、
希望しない人に無理に結婚や出産を強制することなく、
自分の人生設計として子供を持つという希望を足し算していくと
1.8という数字が出てくるらしい。
現状の1.4との差0.4を政策で埋めていくという話だが、
出産可能な夫婦の生活環境、労働環境、育児環境、独身者の結婚観を変えなければ
出生率は上がらない。
そこをどう進めていくのか?
③「安心につながる社会保障」として介護離職者ゼロの達成
親などの介護をするために短時間勤務などに追い込まれたり、
それを基として最終的に職を失うケースが増えているという社会問題が現実にある。
具体的には労働者と事業主との間での
男女均等取扱い、育児・介護休業、パートタイム労働者の雇用管理等について
民事上のトラブルが生じた場合、解決に向けた援助を行うというものだが、
非雇用者は立場的に弱者という現実がある。
大手企業ならいざ知らず、中小企業、零細企業では受け入れるのは困難だろう。
また、自営業者にはどのような解決策を持っているのか、不明である。
アベノミクス第二弾の「3つの方針」が実現できれば、
豊かで快適な生活を送れる日本になるだろうが、
実現させるのは限りなく難しいと思われる。
そしてもう一つ懸念材料がある。
一億総活躍担当大臣に任命された加藤勝信氏は、
女性活躍担当、再チャレンジ担当、拉致問題担当、
国土強靱化担当大臣を兼務しており、
これだけ幅広く担当して、それぞれをきちんとこなせるのか?
遅々として進んでいないのが現状だ。