神秘的な音楽に合わせ、観音様を思わせる衣装を身に付け
両腕を前後左右に動かしたり、体の向きを変えたりすることで
煌びやかで幻想的な演技を見せる |
千 手 観 音 |
初めて見たときの感動と驚きは、言葉で表現出来ないものだった。
「息を呑んで見入る」とは、正にこのことだ。
いくらあっても足りない。
見ていると五体満足な人間が鍛えられ、
練習に練習を重ねて演技しているスーパーグループと思ってしまうが
生まれつき聴覚が無かったり、幼い頃に病気で聴覚を失った人たちの集団で、
中国で唯一の障害者プロ歌舞団 「中国残疾人(障害者)芸術団」 のメンバーだ。
千手観音は16歳~30歳の男女21人で演じられている。
全員耳が聴こえないため、当然普段の意思疎通は手話だけ。
それにも係わらず完全に連携の取れた、
一糸乱れぬ動きを見せるのだから凄いとしか言いようがない。
キラキラと眩しくなる衣装を纏い
文字通りピタリと息の合った演技を見せる21人
まるで生きた観音様が出現したかのような錯覚を起こす
時には煌びやかな万華鏡の中に飛び込んだように思わされる
幻想的な世界 |
彼らは耳の代わりに全身で音を感じ、
微妙なタイミングは、前の人の首に息を吹きかけて取っている。
息を吹きかけられた者は、瞬時に次の動作に入ると同時に
自分の前にいる者の首に息を吹きかけるのだ。
この一連の動作を全員が瞬時に行い、空気の振動を肌で感じ取り、
なおかつ全員の呼吸を合わせるという至難の業で
あの華麗な 千手観音 が現れるのだ。
練習は一日に十数時間にも及ぶという。
この千手観音は単なる芸の域を超えた
世界各国で年間270回以上の公演を繰り返し、
2008年の北京五輪の開会式で、この「千手観音」を披露する予定だ。