韋駄天とは、仏教の僧や寺院の守り神の名称であり、足が早い人をさす言葉。
何故、足の早い人を韋駄天というかは、寺院を守っていた韋駄天が、
仏舎利(お釈迦様の遺骨)を盗んで逃げた鬼を追いかけて捕らえ、
仏舎利を取り戻したことによる。
この逸話から韋駄天は足が早いとなったのである。
「韋駄天しぐさ」 とは、往来を足早に歩くこと、走ることを言う。
このしぐさはやってはいけないしぐさである。
江戸の往来は行きかう人で混雑していた。
そんな中をやたらに走ったら、人とぶつかり事故のもとになる。
そこで往来は静かに歩くことと決められていた。
急病人や火事などの緊急事態の場合は、往来を走っても良かったが、
それ以外は走ることを禁じられていた。
いくら気の短い江戸っ子といえども、往来はあくまでゆっくりと静かに歩いた。
走り回る者は田舎者として注意されたのである。
江戸に暮らす人々は、みな信心深く、様々な神や仏が信仰されていた。
当時の人は、病や不幸を避けるために神仏にすがっていた。
だからどの寺社に行けばどんなご利益があるかなどに精通しており、
願い事や行事によって参拝する寺社を変えていた。
川崎大師は、厄除け
浅草 鷲(おおとり)神社は、酉の市
相模にある大山の山頂にある阿夫利神社は、鳶や職人などが多く参拝した
女性や老人、子供など遠くへ行けない人は、
江戸に買うぞ置く存在した富士講の神社へ足を運んだ
こうした人で賑わう場所では、尚の事、韋駄天しぐさを慎んだ。
現代では、歩道を自転車ですっ飛ばしていく者がよく見られるが、
こんなことはもっての外な行動である。