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江戸しぐさ 「片目出し」

江戸の町屋は、玄関を開けたら、すぐにそこは道である。

庭付きで塀のある家は、大店の主人か武家の屋敷だけである。

だから、家から外へ出るとき、勢い良く出ることははばかられた。

戸を横に開いたら、まず顔を出し、右を見て、左を見て、通行がないことを確認してから外へ出た。

基本的に左側通行だったから、まず右から人が来るのを注意した。

家から顔を出し、通行がないことを確認するこのしぐさを 「片目出し」 と言った。

このしぐさは、子供の頃から叩き込まれていたから、

左右をよく見ずに勢い良く飛び出す子供はいなかった。

このしぐさも、人様に迷惑を掛けてはいけないという江戸人たちの思いやりの精神から生まれたものだ。


江戸の往来の十字路では、広い往来が狭い往来より優先権があり、

同じような道幅なら、先に来たほうに優先権があった。


また江戸の往来には荷車、大八車などが通るための道路設計がなされておらず、

たびたび事故が起こり、なかには大八車に轢かれた死亡事故まで起こった。

何度注意してもわがままに往来を通っている者がいて、歩行者にとって大きな迷惑となっていたため、

大八車で死亡事故を起こした場合には、死罪にするという法もあった。


さらに牛や馬を引くには、監督者を付けなければならず、

通行の妨げになる場所で牛や馬を休ませることは禁止されていた。

これは今でいう特殊車両の運転資格、駐車禁止と同じであり、

今も昔も交通規制は変わらないのだ。