ノルウェーのエミルヘグル・スベンセンは、
後ろにいたフランスのマルタン・フールカデが
ゴール間近で猛烈な最後の追い上げを見せていたのに気づかず、
ゴール直前で勝利を確信し、両手を振り上げた余裕のポーズでフィニッシュ。
最後に滑り込んできたフールカデとほぼ同時にゴールした。
ゴール後、追い込んできたフールカデが両手を上げてガッツポーズ。
土壇場で大逆転!
と思ったが、同タイムの写真判定でスベンセンがほんの僅かの差で金メダルに輝いた。
余裕でゴールしたつもりが寸でのところで2位に落ちてしまうところだった。
スベンセンは心臓が止まる思いをしたことだろう。
ゴールインするまで気を抜いてはならないという典型的なシーンだった。
油断は禁物! |
もうひとつ、油断は禁物というシーンは、
カナダの2人の選手がレース途中で転倒し、
ジャコベリスはゴールまであと43メートルを残して
2位のターニャ・フリーデン(スイス)に3秒の差を付け大きくリードしていた。
しかし、ゴール目前のキッカーを超える際に
余裕がもたらしたのかグラブトリックを試み、ボードの端から着地してしまって転倒。
すぐに体勢を立て直してコースに復帰したものの、
後ろから追走していたフリーデンに追い抜かれて銀メダルに終わった。
そのまま普通に滑ってきていれば金メダル確実だったのに
余裕を持ちすぎて、派手なゴールインをしようとしたのが仇になってしまった。
「なんてバカなことをしたんだ」と、このシーンは、すごく印象に残っている。
ジャコベリスは後に、グラブトリックは必要のない行為だったということを認めた。
なんとも悔いの残る銀メダルだった。
汚名返上の掛かったバンクーバーオリンピックは5位に終わった。
さらに3度目の挑戦となったソチオリンピックでは、
準決勝の第2レースで2位以下に大差をつけて先頭を滑走していたが、
ゴールまでもう少しというところでバランスを崩して転倒。
決勝進出はならず、7位に終わった。
見ていて、トリノオリンピック決勝を思い起こすシーンだった。
ジャコベリスは、世界で活動している最も成功した女性スノーボーダーのうちの一人
と言われている選手だが、
8年前の汚名返上に力が入ってしまったのか、
逆に余裕がありすぎて気が抜けてしまったのか、
はたまた8年前のことでオリンピックの神様に嫌われてしまったのか。